大麻は昔から多くの国の人々の生活を支えてきた
世界中に生息する大麻は昔から生活必需品の原料となり多くの国の人々の生活を支えてきた。
近年では医療効果のある植物として科学的に証明されており医療としての大麻利用が先進国を中心に世界中で合法化されてきている。癲癇(てんかん)や緑内障、筋肉硬化症などに効果があり、大麻の持つ鎮痛作用は慢性痛からガンの治療にまで広く利用され、PTSDという精神的な障害を和らげる効果があることも報告されている。また大麻を娯楽目的としての使用を認めている国も現在数多くある。
大麻は日本にも自生するもともと日本人にとって身近な植物だった
日本に自生している大麻は背丈が高く成長する産業用ヘンプで繊維の原料に向いている。縄文時代にはすでに繊維として使われていたことを示す大麻の縄が遺跡から発掘され、江戸時代までの衣類や袋などの多くは麻で作られていた歴史を持つ。国技である相撲の横綱が締める綱や、伊勢神宮のしめ縄なども大麻で作られており日本人には深い関わりがある。このヘンプと呼ばれる産業用大麻は日本だけでなく世界中で遥か昔から現在に至るまで様々な物の素材、原料として使用されている。
ところが日本では第二次世界大戦後アメリカ進駐軍GHQの政策によって国内で大麻取締法が制定された。
それまで衣料や縄、薬用として日本政府推奨のもと大麻の栽培が盛んでしたが昭和23年7月10日にこの大麻取締法施行で日本の大麻産業は一変し、麻製品の代わりに石油製品が台頭する時代になり現在に至る。
大麻という植物はどのような植物なのか?
大麻はアサ科の植物。雄雌異株の一年草で春に芽を出し秋に枯死する。
アジア・ヨーロッパ地域には背丈の高いサティバ種が、中東周辺には背丈の低いインディカ種が自生している。日本に自生する大麻はサティバ種でヘンプ、産業用大麻などと言われるTHCという陶酔作用の少ない繊維原料などに適した品種である。一方インディカ種は背丈が低くTHCは高く陶酔作用の高い品種である。現在はサティバ種やインディカ種の様々な品種の交配によって、THC保有量の非常に高い品種や、THCが少なくCBD保有量の高い品種など医療用、嗜好用に多種多様な大麻が品種改良され市場に流通している。
大麻には雄と雌があり、雄は開花後に花粉をばら撒き枯死し、一方雌は開花後に受粉し種子を作ってから枯死する。
嗜好用大麻とは成熟した雌株の花(バッズ)の部分を乾燥させた物で、その花をより大きく育てるために受粉させずに成熟させそれはシンセミアと呼ばれる。シンセミアは種子を作るためのエネルギーを開花行動に向けることができるのでより大きく効力の高い花を作ることができる。
背丈の低いインディカ種
産業用大麻に比べTHCが多く含まれている
インディカ種は幅が広い葉(5枚葉)が特徴。
ヘンプ、産業用大麻などといわれるサティバ種の大麻畑
主に産業用として育てられるが、医療効果のあるCBDが基本的に多く含まれている